黒毛和牛
2017年03月
北海道の自然が育てた北はるか和牛〜3日目〜
北海道
グループメンバー | 東牧場 |
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留萌は北海道の日本海側に位置し、道内でも雪が多い地域―そこに東さんの牧場があります。今年は暖かい方だそうですが、それでも雪の分厚い壁ができ、つららがきらきらと輝いていました。
東牧場:東さんのこだわり
牧場経営において重要なのは、育て方の前に良い子牛を選ぶことです。生産者は血統を見ながら市場から買う牛を見極めます。その仕事は真剣勝負。生産者ごとに牛の血統や性別などによる育てやすさの相性があるのだそうです。東さんはメス牛を得意としています。メスとオスとでは肉質にも差があり、メスはやわらかく脂のある肉になります。東牧場ではほとんどメス牛に限定して育てています。また、牛をどのくらいの期間育てるかというのも牛肉を判断する上で重要な指標になります。長期間育てる程コストはかさみます。何か月育てたかということを月齢と言いますが、東さんは長く飼育期間をとり、30か月を基準にしているんだそうです。「30か月を過ぎないと脂肪のおいしさって出ないような気がしていて、若い牛よりある程度月齢のある牛の方がおいしいんじゃないかなと思います。肉の旨みが違うんですよ。」
牧草をはむ牛
東牧場:北海道の雄大な大地がはぐくむ北はるか和牛
東牧場では自家産の牧草ときれいな水が自慢です。近隣の山で濾過された天然水が飲み放題、また北海道は土地が広く畑が多いため、自家産の牧草で牛を育てることができます。牧場で出た堆肥を利用できるのも魅力です。「(牛を大きく育てる段階である)肥育ステージに入るまでのフレームづくりが大切。月齢12か月くらいまでの間に丈夫な胃袋をつくる必要がありますね。」その丈夫な胃袋づくりに必要なのが牧草をしっかりと食べさせることです。東さんは初めからえさを大量に食べさせるやり方ではなく、期間をとって平均的に食べさせていくやり方をしています。ゆっくり時間をかけて育てているからこそ、旨味のある牛肉に仕上がります。
東牧場は山に囲まれた場所にあります
東牧場:生産者として嬉しい瞬間
肉牛を飼育していてうれしいことはなんですかという質問に対し、「とんでもない肉ができたとき(笑)」と答えてくださった東さん。サシが綺麗に入り、自らが驚く程優れた肉質のお肉ができたときがうれしいのだそうです。それは血統だけで決まるものではないため、育ててきた成果が最後お肉にしたときにわかります。そのように本当に満足のいく肉質のお肉は「年に一頭二頭しか出会えない」そうで、生産の世界の厳しさを感じました。
生産者の東さんと牛たち
生産組合の中で切磋琢磨しながら
北はるか和牛は組合のかたちをとりながら、脂に甘みがあり旨みの強いお肉になるように共通のえさを与えて育てています。生産者同士育て方について知恵を出し合い、勉強し合うチームワークがあるからこそ、質の高い牛を育てることができるのです。飼料会社もチームメンバーの一員です。それぞれが協力しあいながら切磋琢磨する良い関係性の中で北はるか和牛がうまれているのだと思いました。
生産者の東さんと飼料会社の高井さん。飼料会社とのパートナーシップも重要です
以上で、北はるか和牛の生産者6農場をまわる旅は終わりました。牛を育てる難しさや奥深さを感じながら、それぞれの生産者の方の思いを知ると、大切にいただこうという気持ちになります。北はるか和牛は甘みのある脂と旨みの濃い肉質が特長です。生産の現場に思いを馳せながら、素材を活かした料理で北はるか和牛を味わってみてはいかがでしょうか。