生きくらげ
2016年09月
トンネルと山の自然が育てた生きくらげ
熊本県
グループ名 | 平山 正さんグループ |
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グループメンバー | 平山 正 |
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熊本県水俣地区の山間部、棚田が広がる自然豊かな土地で育った、生きくらげの取材に行ってきました。9月の暑い日の訪問でしたが、林道の坂を上るにつれ、どんどん涼しくなり、見えてきたのは「指定農場」とかかれた不思議な入口。この土地できくらげを栽培されている、平山 正さんにお話をうかがいました。
〜実際に使用されていたトンネルの中で〜
平山さんのきくらげの特徴は、なんといっても「トンネル栽培」。トンネルは過去に実際に使われていたもので、きくらげの栽培に適していることに目をつけ、農場として再利用しています。きくらげは施設栽培が主流ですが、このトンネルのおかげで夏は涼しく、冬には暖かな風を運んでくれるため1年を通して安定した気候を保ち、露地栽培が可能になりました。生育適正の温度は20度、湿度は80%。トンネルが天然のエアコンとなり、内部・外部共に、栽培に適した一定の環境をもたらします。
トンネルは計3本、2キロ以上あります。
トンネルへ入り、約100mは電灯があるのですが、その先には明かりがないため、懐中電灯をもって突入。入口からの光が見えなくなると、真っ暗で何も見えません。懐中電灯を灯すと、棚にずらっと並んだ菌床があることに気付ける程度です。この適した環境下で約1ヶ月半〜2ヶ月菌床を育てていきます。
外は真夏日ですが、冷気と湧水の音で背筋がゾクッとなりました。
〜天然に近いきくらげにするために〜
自然に自生する、肉厚でコリコリ食感のきくらげを再現できるようにと、露地栽培を採用。トンネルによる天然のエアコンとミスト、太陽光をたっぷりと浴び、色の良いきくらげに仕上がります。自然に育つ環境を提供し、成長の手助けをすることが、美味しさ引き出す秘訣のようです。
トンネル外の林道に並ぶ菌床。木漏れ日が気持ちいいです!
ただ、メリットだけではありません。露地栽培には危険がつきものです。外に出された菌床は15日〜20日後の収穫に向け、予想のできない天気と戦わなければいけません。きくらげの生育中は、突然の気温・湿度の変化、また、近年作物に大きな影響を与えている台風など、障害が多いですが、天気に負けないよう、常に戦っています。訪問日前日は台風。きくらげの傷みを防ぐため、ビニールで棚の保護をしていました。
漢字で「木耳」と書くように、耳にそっくりです!
〜湧き水が決め手〜
湿った冷気をもたらす湧水は、トンネル内から流れ出ており、きくらげの栽培に使用しています。湧水の影響で、内部の壁は鍾乳洞のようになっていました。ここで一つ拘りが、「自然に近い環境を再現したいから、散水も雨が降る様に改良しました!」
棚の上部、黒いホースから雨のように散水。
〜ほんのり甘い香りがする菌床〜
最後に菌床を見せていただき、その時ほんのり甘い香りが。これは菌床を作る際、混ぜ込んでいる“芋焼酎の酒粕”の香りで、きくらげからもほんのり甘い香りがするそうです。菌床の試用期間を短く、収穫量も抑制し、肉厚でこりこりとした歯ごたえのある質のいいものが収穫できるようにしています。
栽培棚も全て手作り!
〜国産きくらげを主流に〜
顔が見える野菜。生きくらげは9月半ばより販売を開始したばかりの商品です。店頭でご試食いただいたお客様からは「国産の生きくらげはめずらしい」「乾燥のものより、こりこりとして歯ごたえが良い」と、うれしいコメントをいただいております。中華風にとまとの卵とじ炒めやごま油と塩胡椒でシンプルに炒めたり、これからの時期は鍋具材にしてもおすすめです。
きくらげが傷つかないよう、一つ一つ手作業でパックしています。
酢物ものように火を通さない料理では、沸騰したお湯で30秒程度茹でてからお使いください。また、きくらげを使ったレシピを同ホームページ内で紹介しておりますので、そちらも併せてご覧ください。