昔懐かしファーストトマト

ファーストトマト

2014年04月

昔懐かしファーストトマト

栃木県

グループ名 小池英行さんグループ
グループメンバー 小池英行 、 増渕友信

今回お邪魔したのは、栃木県町塩谷郡高根沢町。鬼怒川に面したこの地域でファーストトマトを栽培されている、増渕友信さんにお話をうかがいました。

ファーストトマトってどんなトマト??

鬼怒川沿いの高根町の圃場で出迎えてくれた増渕さん。早速ハウスに案内して頂きました。
農業をはじめた時からトマトを作り続けて14年、増渕さんがいくつか作っている品種の一つがファーストトマト。
トマトといえば桃太郎という品種が有名ですが、ファーストトマトは桃太郎の前に多く作られていた品種です。

ファーストトマトの栽培って他のトマトと比べてどうなんですか?

「はっきりいって難しい。栽培にかかる手間は作りやすいトマトの三倍かかります。この地域では昔からファーストを作っていましたが、今では二人しか作っていません。ファーストを求めるお客様は昔からいらっしゃるので、そこはこだわりたい。」

ファーストという名のとおり、原種に近いトマトのため病害虫への耐性が低く、栽培するのは非常に難しい品種ですが、本来のトマトの味とあって近年注目を浴びています。
しかし、その栽培方法の難しさから生産地は全国でも数えるほどで貴重なトマトです。

ファーストトマトって、どんな味なんですか?

「甘みがしっかりあり、さらに酸味も感じられるバランスのいいトマトですね。」
確かに、単純に 甘いだけのトマトとは一線を画している味わい深いトマトです。

増渕さんにはファーストトマトの魅力に限らずトマトのあれこれまで沢山教えていただきました。

毎年同じようにはいかないトマト作り

そんな増渕さんが今年一番心配なのは虫の予防。1ミリ以下の虫がトマトの樹液を吸いにハウスの中に侵入してくるそうですが、それを防ぐのに神経を使っているそうです。
毎年次の年の栽培計画を立てるものの、様々なトラブルが生じ計画通りに行くことはないそうで、
「毎年同じことはほぼないですから。その年の作付けが終わると、来年はこれをやろう、あれをやろうと計画を立てるんですが、実際に栽培がスタートすると、なかなか計画通りにはいきませんね。」

トマト栽培は年に一度。一年に一回しかデータが取れないので、仲間と交流しながら出来るだけ沢山の経験値をためるようにしているそうです。そういったデータをしっかりと残し次の栽培へと活かそうとしていることが、おいしいトマトを作り続けることができる一つの理由かもしれないですね。

「常に勉強です…」

増渕さんのトマトにかける情熱が伝わってきました。

これから鮮やかな赤に色づいていきます。おいしいトマトになりそうです♪

美味しいトマトの見分け方。必ずしも赤いトマトが美味しいわけじゃない??

増渕さんに、おいしいマトの見分け方を聞いてみました。

「赤いトマトは甘そうに見えますが、実はトマトの甘みの絶対量は赤く色付き始めたころにはすでに決まっています。赤くなっているのはリコピンの量が増えているだけ。リコピンは甘み成分ではなく色素なので、リコピンが多くても甘みを感じることはないんです。」

えーーー?!赤いトマトってみんな甘いのかと思ってました!
では、美味しいトマトはどう見分ければいいんですか?

「トマトに入っているうっすらとした白い筋が美味しさの印です。」

最近よく耳にするようになった、スターマークというものですね。そもそも、どうして白い筋が出ているとおいしいのですか?

「トマトが大きくなる段階で水分と肥料を減らしてトマトにストレスをあたえると、トマトの水分が少なくなり、皮がギュッと押されて張りができ白い筋が出てくるんです。」

なるほど!そのため甘みと酸味が詰まった濃密な味わいになるんですね!

増渕さんのファーストトマトはこの筋が幾重にも刻まれスターマークどころかマーブル模様になっています。その分味も濃厚なのです。

だんだんと色づいてきましたね。それにしても、美しいハート型のフォルムですね!

とれたてトマトは美味しくない?!

なるほど、どんなトマトが美味しいのかはわかりました。では、どのタイミングで食べるのが一番おいしいのですか?やっぱりとれたてトマトが一番のイメージがあるんですけど…。
「実は、とれたてよりも一日くらい置いた後のほうが、酸味が弱まり、バランスよく甘味と酸味を感じることができるんですよ。」

え!?なんでですか??

「実は、トマトの酸味はゼリー部分に多く含まれていて、甘み成分は果肉に多く含まれているんです。ゼリー部分の酸味は日が経つごとに少なくなっていくため、収穫した直後よりも店頭に並ぶ頃のほうが甘みがあるんです。」

ということは、消費者の手元にトマトが届くときが一番の食べごろなんですね!奥が深い…。

「ファーストの酸味が程よい程度なのはゼリー部分が少ないことがひとつの理由なんです。」

ファーストトマトの美味しさの理由がわかりました!

そろそろとれ頃かな??真剣な眼差しでトマトをチェックします。

地元のレストランからもご指名が入るほど!

そんな増渕さんのトマトは地元の直売所でも人気のようで、毎年買ってくださるリピータが沢山いるとか。そして、地元の宇都宮の人気レストランのシェフ御用達でもあるそうで、10年以上も直接取引をされています。
レストランのメニューにも「増渕さんが作ったトマト」、と名前を載せているため、増渕さんも責任を感じるとのこと。「顔が見える野菜。」と同じですね。

「そうやってお客さんを増やしていくのも楽しい。」
と増渕さん。

「顔が見える野菜。」でも長く出荷していただいていますが、「消費者が損をしたなと思わないものを作らなくてはいけない。」と責任を感じておられました。

「顔が見える野菜。」だけでなく、いろんな形でファンを作っている増渕さん。トマト作りに真摯に向き合ってこられてきたからこそファンは増え続けているのではないでしょうか。

最後にトマト作りの喜びを聞くとこう答えてくれました。

「美味しかったという声が聞こえてきたときがやっぱり一番嬉しいです。」

その声が毎年の原動力になるのですね。これからも消費者の声をできるだけ届けられるようお手伝いしていきますので、 おいしいファーストトマトを作りつづけてください。
増渕さん、ありがとうございました。

綺麗なスターマークが出ていますね!美味しいこと間違いなし!

増渕さんのファーストトマトは絶賛発売中です!白い筋の入った色鮮やかなファーストトマトの味を是非お試し下さい!

昔懐かしファーストトマト