絶妙なバランスで育てあげた自慢のナス。

なす

2020年11月

絶妙なバランスで育てあげた自慢のナス。

高知県

グループ名 有岡只祐さんグループ
グループメンバー 井上章夫 、 吉本明弘 、 窪田 充 、 窪田航大 、 公文紀久雄 、 手島康之 、 小松 勝 、 小松逸男 、 小島政幸 、 清岡栄作 、 有岡輝明 、 有岡只祐

私たちは高知県安芸郡にある、有岡さんが栽培するなすのビニールハウスを訪れました。今回の取材ではなすの育て方だけでなく、ご自身のなす作りに対するお考えについてもたっぷりと伺うことができました。

〜土壌は野菜のごはん。バランスが大事。〜

有岡さんがなす作りで一番こだわっていることは、土壌づくりだといいます。未熟なたい肥は使わず、十分に熟成したたい肥だけを使用し、土壌中のミネラル成分を10項目以上調べては、バランスを考えて土づくりを行っているということです。「とにかくバランスが大事。あと、ここには1800本のなすの木があるけれど、みな個性があるから1800本全体のバランスも考えて水や栄養素を投与しなきゃならない。」と有岡さんは言います。人間がご飯を食べるように野菜は土壌中の栄養を食べて生きているから、栄養が偏ってはいけない、とのこと。「だって人間がラーメンばっか食べてたら、身体の調子が狂って大変でしょう。」と笑う有岡さん。

この土壌が美味しいなすのカギなのですね。

〜虫をもって、虫を制す。〜

有岡さんのビニールハウスではできるだけ殺虫剤を使っていないそうです。その代わり防虫に使っているのは、なんと昆虫!害虫を食べてくれる土着天敵を飼育することで、害虫の防除を行っているのです。(このような防除の種類を確か「生物的防除」と呼ぶのでした……と大学で農業を学んでいた筆者は遠い記憶を思い出しました。)そして、この防除に関してもバランスが非常に重要とのことで、益虫である土着天敵の数に対して餌である害虫が少なすぎると土着天敵は死んでしまうため、土着天敵の生育数を管理し適度な均衡を維持するのはとても難しいということです。なすを収穫しながら葉の摘心を進めていく有岡さん。通路には切り落とされた葉が落ちていきます。以前はその葉を片付けていたそうですが、葉には土着天敵の卵がついているため、生育密度を保つためにあえてそのままにしているのだそう。

よくみると中央にいる、この小さい虫です!

〜なす中心の生活、楽しいで。〜

6年間サラリーマンを経験し、のちに農家に転向した有岡さん。収穫が終わった短いオフシーズンのみが休みであり、収穫できる間に休みは一切ないといいます。会社員のような制約は無いが、今はなすに縛られている生活であると笑いながら、「でもね、全部自分でやる、楽しいで。」と続ける有岡さん。なす作りは難しく、他者に教えるのが困難なコツなどがたくさんあるそう。どのくらい作っていたら一通りのコツをつかめるようになるのですか?と尋ねると、「コツはつかめません。永遠。永遠と試行錯誤していく。」と作業を続けながらなすをかき分け奥に進んでいく有岡さん。その後姿はとてもカッコよかったです。

なすの木の合間から作業中の有岡さんをパシャり。

「ウィズコロナの時代で調理する機会が増えているだろうから、ぜひなすも料理に取り入れてたくさん食べてほしい!」という有岡さん。絶妙な栄養バランスで育てられた有岡さんのなすを、ぜひご家庭でご賞味ください〜!

絶妙なバランスで育てあげた自慢のナス。