この道15年!?横田啓二さんのとちぎ芳賀牛

国産牛

2016年10月

この道15年!?横田啓二さんのとちぎ芳賀牛

栃木県芳賀郡

グループ名 芳賀アグリカルチャー有限会社

「ここは牛を育てるに、最高の環境だ!」と、ある時直感で思い、横田啓二さんはとちぎ芳賀牛を肥育している。
栃木県八溝山系。のどかな田園が広がり空気が澄んだこの土地に、大里牧場・山久保牧場・小山牧場があります。
“うまい牛肉”を追求する横田さんは、この道なんと15年!
その間、「たとえ成功したとしてもひとつの方法に固執せず、時代に合わせて変化してきた。」という。
今回は15年にも及ぶ、とちぎ芳賀牛の肥育に対するこだわりについて、取材してきました。
当日はあいにくの雨。“機材が濡れないように。”と横田さんにお心遣いをいただき、急遽、山久保牧場で撮影をすることに!?

“うまい牛肉”をつくる上での大前提とは?

「牛が健康であること。」がまず基本。
一度病気になってしまった牛は、たとえ治療したとしても品質はやや落ちてしまう。なので、健康であることが大前提。
では、牛が健康であるために、どういった工夫がなされているのだろうか?
ポイントは「エサの内容」と「与え方」。そして、牛はデリケートな生き物であるために「心地よい環境づくり」も工夫している。

牛舎でくつろぐ牛、あなたは誰?と言わんばかりのお顔。

“いらっしゃい。” ゆったりとしていってね。

月齢8〜9か月の子牛を、主に北海道から導入している。
導入できればどんな牛でも良いというのではなく、顔や姿を見て“健康で大きく育ちそうな牛”を専門家が厳選している。
横田さんは農場にやってきた牛を、食肉としていきなり大きく育てようとはしない。導入してきたばかりの仔牛は北海道からやってくるまでの移動や、新しい環境でかなりストレスフルな状態。なので、まずは4か月間、農場に慣れるための準備期間をしっかりと設けている。
「しっかりと準備期間をおくことで牛は安心してエサを食べることができ、健康で大きく育つようになる。」
とお話くださる横田さん。
この準備期間、大方は2か月、長くても3か月だそう。
“4か月間設ける”牛の健康にこだわる横田さんならではです。

準備期の仔牛、もりもりわらを食べています。

エサを独自配合できる強み〜牛の身体に合わせたエサづくり〜

ヒトが成長のタイミングや体調、季節によって必要とする栄養素が異なるように、牛にとってもそれは同じ。
各タイミングに必要な栄養素が補給できるよう、栄養価計算をして独自に飼料を設計しています。農場だけではなく、飼料配合メーカーも経営している強みを活かして、より細やかに各タイミングで必要とするエサを与えているという。
たとえ栄養バランスがよくても鮮度が悪ければ意味がない。
エサの鮮度にもこだわるために牛の糞から作った堆肥を水田農家に供給し、その代わりとして、田んぼで穫れた稲わらを調達している。農産と畜産が協力し、地域で活性化する。素晴らしい取組みですね!また牛にとっても、誰がどのようにつくったエサであるかということが分かると安心ですね!

エサの配合を考える木村さんと横田さん。

何を食べるかだけではなく、どう食べるか?も大事

ヒトが食べもの消化する時、食べ物は消化酵素によって消化される。
だがしかし、牛は違う。
牛の場合は、胃の中に多くの微生物が棲みついており、その微生物が発酵することによって食べ物は消化される。
ここでポイントとなってくるのが「エサの大きさ」。
加工や加熱処理をしたような消化によいエサばかりだと、牛の胃の中で異常発酵をきたしてしまう。
異常発酵をすると、胃の調子が悪くなったり、病気になったり、場合によっては死んでしまうという。
合理性だけを求めると、加工や加熱処理をしたような消化によいエサばかりを与えがちだが、牛の健康を考えると、パインかすや稲わらといった消化に時間のかかるものも必要で、そのバランスがとても重要となってくる。
「いかに負担をかけずに、なおかつたくさんのエサを食べてもらうか、そこが我々の見せ所」と横田さん。
牛は本来草食動物、エサの内容たけではなく、本来の生理機能も考えた食べ方も大事ですね!

牛が必要な栄養素だけでなく、生理機能まで考えられたエサ。

年を重ねることで、でてくる味〜最大のこだわり、長期肥育〜

横田さんの最大のこだわりが「長期肥育」。
交雑種の肥育期間は平均すると月齢25〜26か月であるが、横田さんは月齢28〜29か月という+3か月の期間を設けて肥育している。
しっかりと栄養価計算されたえさを食べ、心地よい環境に長期間いさせてあげることで、和牛のような香りが牛肉全体に広がり、サシが入る。
“長期間肥育をするということは、それだけコストもかかるのでは?”と私は疑問に思ってしまう。
けれども、横田さんは、そこにこだわるという。
「確かに資金力が必要となるが、“うまい肉をつくる!”というこだわりがあるから。付加価値がないと商売にもならないし、15年間やってきて、うまい肉をつくるために“方法”を変えることはあるが、うまい肉をつくりたいという“想い”は変わらない。」と横田さんは熱く語る。

「うまい肉をつくる!」というこだわりを超えた、使命のように感じました。

とちぎ芳賀牛のこだわりについて、イキイキとお話くださる横田さん。

ホルスタイン種と和牛をかけ合わせてできた、交雑種。和牛のような香りはあるものの、脂身は口溶けがよくさっぱりとした味わいが特徴。
特にとちぎ芳賀牛は、長い間、こだわりのえさを食べて育っているので、香りや旨みは和牛に匹敵するほどです!
ぜひ一度、お召し上がりください!!

この道15年!?横田啓二さんのとちぎ芳賀牛