赤土で育ったじゃがいも 愛の小町

ジャガイモ(愛の小町)

2017年05月

赤土で育ったじゃがいも 愛の小町

長崎県

グループ名 佐藤健一郎さんグループ
グループメンバー 宮本俊幸 、 佐藤健一郎 、 山口吉高 、 山口恵介 、 山崎好治 、 松尾文昭 、 松尾用志郎 、 大石隆司 、 田中 蔵

北海道に次ぐ全国有数のじゃがいもの産地である長崎県。今回取材をした「愛の小町」は島原半島の北西部雲仙普賢岳を取り巻くように位置している雲仙市で栽培されています。北岸は有明海に、西岸は橘湾に面した、自然豊かな地区です。市内に入ると、収穫間近のじゃがいもの葉が青々と生い茂り、土が真っ赤な畑が一面に広がっていました。

〜愛の小町を育てて30年〜

今回産地訪問をさせていただいた佐藤健一郎さんは、この地区で愛の小町の栽培がはじまった頃から作り続けており、歴30年となる大ベテランの生産者さんです。ゴールデンウィーク明けから本格的に収穫が始まる忙しい時期にも関わらず、ご夫婦でインタビューに参加していただけました。

当日はあいにくの曇り空でしたが、お二人の笑顔で現場の雰囲気も明るく!

〜ブランド名「愛の小町」の由来〜

名前の由来は、旧愛野町の“愛野”と、三大美女で知られる小野小町の“小町”をとって「愛の小町」と名付けられました。また、赤土を使用しているため、皮目が赤くツヤがいいことも特徴です。ミネラル豊富な土作りを行い、ホクホクとした食感で、煮崩れしにくいと好評。30年前よりこの地区で栽培が始まってから、病気にかかりにくく量がしっかり採れるよう研究をかさね、今では地区の特産品に!

収穫は冬掘り、春掘りの年2回。今回は2月に植えたものを収穫しています。

〜はるばる40kmを旅した赤土〜

畑を赤く染める正体、愛の小町の特徴でもある赤土ですが、実は雲仙地区の元々の土ではありません。愛の小町を作るにあたって、適した土を探した結果、40キロ離れた他県より仕入れ、客土したものです。毎年入れ替えは行わず、30年間同じ畑と土で栽培し続けたため、連作障害が起こらないよう、畑や土の整備にとても力をいれています。

本来の土壌は黒土。その上に、赤土を30cmのせ、30年間継ぎ足しだけで使い続けています。

〜土を育てる〜

同じ土を使い続ける、つまり「長年丹精込めて育ててきた土」はいったいどのような堆肥を混ぜ、連作障害の対策をしているのか。収穫を終えた畑は、愛の小町に栄養を注ぎ込んでしまったため元気がない状態です。冬収穫の愛の小町のために栄養を足し、病気に罹らないよう強い土にする必要があります。収穫後の畑には根や葉、張っていたビニールシートのかけら等が残っています。これを一つも残さないという気持ちで除去、病気に何よりも大切なことは、畑をきれいにすることだそうです。その後、緑肥(※1)をし、有機肥料で栄養を加えます。栽培当初は何を混ぜればいい愛の小町ができるのかと、何度も研究を重ねたそう。これを繰り返し今の佐藤さんの畑の土が出来上がったのです。

私達の手元に届く野菜は、生産者さんの努力の賜物、インタビューのたびに感服です

〜販売開始に向けて〜

この日は、販売開始に向け商品担当のバイヤーが直接産地へ行き、最終確認を行いました。青果物は天候の良し悪しで、収穫時期や質に大きく変動がでるため産地訪問を行い、畑に入り、今年の生育状況を生産者さんに聞きながら状態をみます。5月末から販売本格化、お客様により良い商品がお届けできるよう、出荷にむけ着々と準備が進みます。

奥バイヤー(画像右側)が生育状態の最終確認中です。

インタビュー後、収穫したての愛の小町を蒸して試食をさせていただきました。ホクホクとした仕上がりで歯ごたえもしっかりしています。食べた瞬間の、じゃがいもの香りと味にとても感動しました。他のじゃがいもとの食べ比べもおこない、それぞれ違った味わいはあるものの、愛の小町の味の濃さに驚きました。よく食べている野菜ですが、基本的に味をつけて食べることが多いため、普段は本来の味を感じることを忘れていたのだなと。
本来の味を感じられる「蒸しじゃがいも」もぜひお試しください!!

※1.緑肥・・・栽培している植物を、収穫せずそのまま田畑にすきこむ、つまり、植物と土を一緒に耕し、後から栽培する作物の肥料にすること。

赤土で育ったじゃがいも 愛の小町