ごぼうが美味しくできる土地で、美味しく育てる。

ごぼう

2013年10月

ごぼうが美味しくできる土地で、美味しく育てる。

青森県

グループ名 瀬川 勝さんグループ
グループメンバー 乙部 登 、 乙部英夫 、 乙部輝雄 、 乙部義弘 、 鎌本貴幸 、 向井一成 、 向井義彦 、 甲地菊松 、 沼辺 隆 、 沼辺喜美男 、 新堂卓美 、 吹越 肇 、 吹越義男 、 吹越秀助 、 長久保耕治 、 土橋重幸 、 浜田正則 、 本間末作 、 萠出 司

青森県東部にある上北郡東北町。東は小川原湖に面し、八甲田山系の山々の裾野に広がる自然豊かな地域です。今回は、この土地でごぼうを栽培されている、長久保耕治さんにお話を伺いました。

土物が美味しくできる風土

「青森は土物に適した風土です。」と長久保さんは話します。

青森県は、ながいも、にんにく、ごぼう、大根といった土物と呼ばれる野菜の全国有数の産地となっていますが、その秘密の一つは、この土地ならではの風土にあります。

「火山灰土と粘土質の地層がうまく織り交ざった、土物に適した土質です。昼夜の寒暖差が非常に激しい時期があり、それがごぼうやながいもといった土物が栄養を増すために非常に適しています。」

ごぼうをはじめとした土物に適した土と、土物が美味しく育つ厳しい気候。この条件が備わった東北町だからこそ、美味しいごぼうが育つのですね。

訪ねたのは10月でしたが、既に寒い・・・
過酷な環境のもとで、ごぼうは美味しく育つのですね。

「土の力で育てなさい。」

「とりわけ土物の中でもごぼうは『土の力で育てなさい』と先輩から教わってきました。」
と長久保さんは話します。

”土の力”をつけるために大切なのは、どんなことでしょうか。

「もともと持っている土の性質を考えて、いい畑を選ぶということと、いい土を作っていくということです。例えば堆肥を入れる、緑肥をまいて土をやわらかくする、といった工夫をしています。」

土をやわらかくする、ということは素直なごぼうが育つための基本なのだそうです。

「また、ごぼうは土を深く掘らなくてはいけないのですが、天気と折り合わないことが多いですから、いい時を選んで土をやわらかく耕していくのが大変です。」

柔らかい土の中で、きれいにまっすぐ伸びたごぼうが収穫されていました!

「種まき」も鍵

さらに、「土づくりと種まきが9割くらい鍵を握っているのでは」と長久保さんは話します。
”種まき”も、ごぼうの栽培にはとても重要で、苦労するポイントなのだそうです。

「いい時期に種をまくことです。まいてから発芽がうまくいくといいごぼうにすくすく育ってくれますが、みんなたいがいそれに苦労しています。
種まきのタイミングを選択するというのが、一つのキー。最初が肝心です。」

種をまきたい時期に雨が降ると、まけないこともあるのだそうです。
天候と折り合いをつけていくのが難しい、ということがここでもうかがえます。

収穫作業は、この大きな作業車で。1本1本ごぼうを抜いていきます。

簡単なようで、うまくいかない

長久保さんは大学卒業後からごぼうを栽培されて19年になるそうですが、最初は栽培に苦労されることもあったのでしょうか?

「最初は適した畑をうまく選べなかったり、(土の中に埋まっているので)生育途中がよくわからなかったものですから、そういう意味では苦労しました。野菜は何でもそうですが、ひとくくりにできません。ごぼうにはごぼうの生育の仕方、栄養を必要とする時期があります。ごぼうをはじめから勉強しなければいけませんでした。」

ごぼうをはじめから勉強して約20年経った今でも、まだまだ苦労は尽きないそうです。
「先輩方は簡単に作っているようですが自分で作ってみるとうまくいかなくて、今でも苦労はしています。」

その苦労の積み重ねのおかげで、美味しいごぼうが食べられるんですね。

作業中の長久保さんは真剣そのもの。

子どもの「美味しい」が、消費者の安心へ

「顔が見える野菜。」として自分の作物が店頭に並ぶことについては、どのように感じていらっしゃるのでしょうか?

「産地と消費地が離れているようではありますが、対面販売をしているような気持ちで、顔を出して売っているような気持ちで作っています。
私も子供がいますが、子どもに安心して食べさせられる自信を持って作っています。
子供に美味しいって言ってもらえるということが消費者の安心にもつながっていくように思います。」

青森県を遠く感じられる方もいらっしゃるかもしれません。でも、長久保さんはじめ生産者の方は、消費者を身近に感じながら生産されているんですね。
そこに、厳しい責任感が感じられます。

「春夏秋冬いろんな素材のひとつとして楽しんでもらえれば」と長久保さん。ありがとうございました!

美味しくできる土地で、美味しく育てられたごぼう。長久保さんはじめ生産者の方が自信を持ってお届けするその味は、確かにひと味違います。寒さ増す冬に大活躍のごぼうを是非、お好みの料理でご賞味ください!

ごぼうが美味しくできる土地で、美味しく育てる。