一心同体で育てたりんご

ふじリンゴ

2012年11月

一心同体で育てたりんご

青森県

グループ名 阿部正弘さんグループ
グループメンバー 阿部正弘 、 阿保晴夫 、 阿保誠幸 、 阿保明仁 、 葛原恒義 、 山谷 功 、 山谷泰明 、 山谷裕子 、 成田初枝 、 相馬克巳 、 田村義昭 、 田村道雄 、 肥後可樹 、 福士 勝 、 福士 誠 、 福士義彦 、 福士金四郎 、 福士俊治 、 福地光明 、 福地幸治

11月、秋も深くなってきた青森県。色鮮やかな紅葉がいたるところで見られます。
津軽平野南部にある田舎館村は、肥沃な土と豊かな水に恵まれて、弥生時代からお米が作られている「北方稲作文化発祥の地」でもあります。
今回は、田舎館村でりんごを栽培されている阿部さんをお訪ねして、りんごについて教えていただきました。

木を教育する

りんご栽培で大事なポイントは、何でしょうか。
「りんごの出来の7割は、春先の剪定で決まる」
と阿部さんは話します。
剪定とは、不要な枝などを切って樹木の形を整える作業のことです。この剪定で、秋に収穫できるりんごの量や品質が決まります。どの枝を切るかは、枝の位置関係や木の中での相対的な枝の量から判断するそうですが、これは2年・3年、その先を見据えた作業でもあるためとても難しく、ここに生産者の経験や性格があらわれるのだそうです。
「木にいいりんごが成るような癖をつけさせるのが剪定のテクニック。スポーツ施設を作ってトレーニングさせると上手になるのと同じ。教育みたいなものだよ。」

りんごと枝の間に白いガーゼのようなものが挟んであります。りんごへの優しさが感じられますね。

りんごの気持ちになって

よく見ると、りんごと枝の間に白いガーゼのようなものが挟んであります。りんごに傷が付くのを防いでいるそうです。また、枝の間には輪ゴム。地面には光るシート。これは何でしょうか?
「日光を当てないと味のいいりんごはできないんだよ。」
と阿部さん。枝が密集すると日あたりの悪い枝ができるため、輪ゴムで引っ張り枝と枝の間にすき間を作ります。地面に敷いた反射シートは太陽光を反射して、りんごに日光を届けているそうです。
「りんごとは一心同体、りんごの気持ちになって手間をかければいいりんごができる。」
と阿部さん。ここまで手間をかけているとは・・・お店にきれいに並ぶりんごからはなかなか想像できません。

枝と枝の間に輪ゴムが付いています。

落ちないりんごを作るのは難しい

ただ、どんなに手間をかけても防げないものが、風や雪。台風で落ちたりんごには傷がついてしまいます。雪の影響で凍ったりんごを触ると、触った部分からりんごが腐っていくそうです。
「言葉で言えば、来るもの拒まず。被害だけはどうにもならないからね。でも、今年は台風も無かったからほとんど被害もなくて、いいりんごが取れるはずだよ。」
と阿部さん。今年のりんごを食べられるのが楽しみですね!同時に、積年のご苦労も伝わってきます。

地面には白いシートが。光ってちょっとまぶしいです。

ほっとするりんごの重み

一番嬉しいのは、「収穫して、りんごがカゴに入ったとき」だそう。収穫の時期は忙しく、りんごの重みで足腰が疲れることも確か。でも、時間をかけ、災害も乗り越えて育てたりんごを無事収穫できてほっとする重みでもあるそうです。

カゴいっぱいのりんご。収穫の季節、嬉しくなりますね。

「外見より中身」なことも

ところで、美味しいりんごはどんなりんごでしょうか?
見た目で選ぶなら、「色づきが良く、肌つやのいいりんご」がいいそうです(阿部さんは「油がのっている」と話していました)。
ちなみに、見た目のわりに(?)美味しいりんごもあるそうです。割ると中心部が黄色がかっているりんごがありますが、これは蜜が入って甘いりんごである証拠。お店では見かけませんが、虫が付いたりんごも「虫が食べるほど」美味しいのだそうです。
「人の外見を見比べても性格はなかなか見えないのと同じだよ。」
なるほど。納得です。

笑顔が素敵な阿部さん。

特に美味しい「油がのっている」りんごはさて、どれでしょう?りんごのプロ(生産者)にはすぐわかるんだそうです。

阿部さん、ありがとうございました!阿部さんはじめ、生産者の方々が一心同体になって、手間ひまかけて育ててきた田舎館村のりんご。お店で見かけたら是非手にとって、生産者の思いを感じてください。

一心同体で育てたりんご